きょうもまた、あなたとおいしい朝食を食べる、それが幸せ。 風は、すずやかに、木の葉をゆらし、小鳥のさえずりが、庭に降る。 今日も元気だ、幸せだ!
エスプラナーデには、十軒のほどの日本食レストランが入っている。
カジュアルな店は、地下一階だ。
ニンが、日本食に対してどんな反応をするのかを見たいので、迷わずFujiへ入る。

寿司、天ぷら、餃子、イカ焼き、茶碗蒸し、など。
茶碗蒸しを好き、というかどうか。
日本食は、初めてではない、注文するものも、自分で選べる、そんな感じだった。
茶碗蒸しは、食べたことがなかった、といいながら全部食べていた。

日本食に対しては、まずまずの好みだ。
今後、僕が日本食を食べたいと言っても、いやがらずに、ついてくるだろう。

食事の帰りに、途中のジャスコに、買い物に寄る。
ここが、大変、だった。

ジャスコの中を2度は、ぐるぐる歩いたのではないだろうか。

モップはあるか。ない。
モップで拭き掃除をするときの、バケツあるか。ない。
床掃除の洗剤はあるか。ない。
洗濯の洗剤はあるか。ない。
食器洗いの洗剤はあるか。ない。
ニンがお泊りする、歯ブラシ、化粧水、あるか。もちろん、ない。
化粧品は、よくわからないが、2、3種類買った。

歩いているうちに、女性の下着コーナーでピタリと足が止まった。
ワコールのブラジャーとちっちゃなパンティのセットがいたく気に入ったらしい。
女性店員とあれこれ話しこんで、欲しいというそぶり、丸出し。

日本から、お土産を買って来ようかと思いながら、時間がなくてできなかったので、これをプレゼントしてもいいか、という気になる。900バーツ。
そうすると、やわら店員が、もう一つブラジャーを買うと、パンティが無料で付くキャンペーン中だと言いだした。
今度は、それも欲しそうな気分で、店員の勧めに応じたがっている。
それを買うと、1500バーツになる。
いっきょにブラジャー・パンティ2セット、というのは、さすがにおかしく思えるから、それはダメダメ、で押す。

それから、伸び放題の僕の髪の毛を見て、髪を染めるとしたら、どの色にしようか、などといい始めて、ダーク・ブラウンの染料を買う。
後で、染めてあげるから、プロに任せなさい。とか言う。

コンドのもどってからの食べ物と、明日の朝の食料をみつくろう。
その時、なんという名前じゃ、僕にはわからないが、タイ人が良く食べる貝が、魚介コーナーに出ていた。
それを食べたいか、と聞く。ここで、煮る、調理をしてくれる、という。
食べたい。
それで、注文ということになったのだが、なんだか10キロの単位で買おうとしている。
おいおい。ボールにひとつ、それぐらいでいいよ、と押さえる。

また、ハムを買うときも、同じ様子。
うすくスライスしたハムの味は、僕が選んで決めると、量は、10センチも買おうとする。
そんな、明日の朝食だけだし、味もよくわからない初めてのハムだから、5センチでいいよ、とこれも押さえる。

買い物を始めると、ブレーキが利かなくなる、そんな情動の持ち主、というのが存在するのだろうか。
あとで思うと、そんなことをふと考えさせる様子だと言えた。

その時は、とにかく、あれこれしたい思いがあり、知識もあまりないのかな、というくらいにしか思わなかったが。

そんな、こんなで、大量の荷物をかかえて、コンドの部屋に戻る。

僕は、日本から到着したばかりでもあり、くたびれていたので、ゆっくりソファでくつろぎにかかる。

ニンは、僕には、休んでいていいよ、と言う。

ところが、自分は、ベランダのある、洗濯機用の蛇口を見つけると、今買ってきたばかりの、モップとバケツを取り出した。
以前から買ってあった、ほうきと、塵取りで、まず部屋全体を掃く。
ワン・ルームで、40平方メートルの広さである。
それが終わると、バケツに洗剤を入れ、モップで床の吹き掃除。

実に手際よく、嫌がらず、きれい好き、という感じで、僕に手伝えば、というそぶりもみせなかった。

掃除が終わり、ベランダのから外の景色を眺めている。
そばに寄っていくと、椅子に腰をかけて、
あ〜ぁ、この椅子にすわって、書き物のことを考えられたら、いいな〜。

ねえ、あなたが、日本に帰っている間、ここに来ても良い?
そうしたい、な。
どう思う?良いかしら?

なんだか、超スピードで頭が回転しているみたいだ。
僕は、まぁ、そういうこともあるかなぁ。
わからないよ、まだね。
というタジタジの返事。

この展開は、どうなっていくのだろうか?
自分でも、予測がつかないスピード進行である。    (続く)



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ターミナル出口はCだよ、と言っておいたので、
ゆっくりゆっくり迎え人たちの顔に目を留めながら出ていったが、ニンはみつからなかった。

バンコクのスワンナプーム空港には出口がA,、B、C、と縦に並んで3箇所ある。
パブリック・タクシーのカウンターに近いので、出口Cを指定したのだが、英語がほんの少ししかわからないニンには、メールで書いた内容が伝わっていないのだ。
本当に迎えに来てくれるのか、と何度も念を押していたので、どこかに来ていることは確かだろう。

昨年11月から、8ヶ月の間に、5回目のバンコク訪問である。
前の旅行で交換したバーツをそのまま持っているので、両替は、空港ではしない。
携帯でニンを呼んでみる。
すぐに応答がある。
どこにいるの?
EXIT3だと、言う。
僕の頭上をみると、EXIT9と書いてある。
ニンは、ターミナル出口Aを出たところにいるらしい。
そのまま、そこで待っているように言って、僕がニンの入るところへ向かう。

EXIT3に着くと、かなりの人が迎えに出ている。
どうも、みつからない。
お互い、写真でしか知らない関係なので、簡単ではない。
EXIT3を通って、外に出て見るが、こちらには人がほとんど居ないので、やはり中で待っているようだ。
もう一度、電話してみると、すぐ応答がある。
どこにいるの?インサイド?アウトサイド?
と聞いても、その意味は通じない。
台車にバッグをのせて押しながら、また、中にもどって、携帯にむかって、
どこ?どこ?
と叫びながら歩いていると、ようやく人陰から、忍び寄るようにニンが現れた。
サングラスをかけている。
おいおい、2枚の写真でしかしらないのに、サングラスなんかかけてちゃ、僕のほうから見つけることなんて出来ないじゃないか。
でも、ニンは無事に会えたことが、奇跡のようにうれしいらしく、オーオー会えた、といってはしゃいでいる。

写真でみた感じとは、少しで違う。
ちょっとだけだが、期待の方が、上回っていたようだ。
2枚に写真は、すぐに送ってくれて、良い表情だった。
すぐに好きになった。
3枚目は、なかなか送ってくれず、届いたのは、めちゃ小さくて、海岸でワンピース姿なのだが、全然顔が判別できない写真だった。
写真は、あまり送りたくなかったのかもしれない。
歯が矯正中だった。
タイには、歯を矯正中の若い女性がやたら居る。

パブリック・タクシーのカウンターが、Cの出口の方にもあった。
行く先を、ラチャダ、エスプラナード、と告げる。
すんなり分かってもらえ、タクシーが当てられる。
これが、前には、なかなかできず、紙に行き先を書いて説明していた。
今回は、ニンも居るので、通じなければ彼女に言ってもらえばいいと思い、紙に書くことも無く話してみたのだが、簡単に通じた。
僕の方の、単なる慣れ、なのか。わからない。
バン形態の大き目の車で、女性のタクシー・ドライバーだった。
すぐにメーターを倒して、メーター・タクシーになり、気持ちの良いスタートだ。
これが、ややもすると抜け目のないドライバーは、乗客を見て少しでも有利な料金を稼ごうとしてメーターを倒さなかったするので、嫌な思いをしながら、メーターを倒してくれ、と言わなければならない。

ニンは、何度もチャットで説明していたのにもかかわらず、僕がホテルではなく、コンドミニアムに行くことにびっくりしていた。
部屋を借りている、とは思っていなかったようだ。
これでは、話したことの、どれだけが伝わっているのか、全然わからない。
なにも伝わっていない、と考えたほうが良さそうだ。
ふたりで並んで座ると、うれしそうに手をにぎってくる。
相手が積極的すぎるのは、危険信号だが。
と内心思いながら、ニコニコして、とにかく会えたことを嬉しがっている様子は悪くは無かった。
ニンも、あのようなチャットだけで、本当に会えるとは、内心思っていなかったのかもしれない。
僕の話した分の、3割しか、ニンには分かっていなかっただろうから。
それだけに、会えたそのことだけで、嬉しい、という気持ちが、僕より強いのかもしれない。
と、僕のこころの中の警戒信号がゆるんで行く。

タクシーは高速も使わず、道を遠回りもせず、コンドに着いた。
タクシー代が今月から値上がっており、航空タクシーだけが新しいメーターを備えて対応している、と聞いていた。
メーターは、280バーツで、サービス料金50バーツ、チップを入れて360バーツを渡す。

ニンも、手荷物を一つ持ってくれる。
セキュリティを通り、エレベーター10階まで行く。
エレベーターにはコンドの住人が乗ったが、ニンは平気だ。
部屋に入ると、わぁー良い部屋ね〜、とニンが言う。
ベランダに出て、わぁーバイヨークが見える、と言う。
ここを本当に借りているの?
あなたの名前で借りているの?
と確認したがる。
安心したいのだろうか。
一月ばかり留守をした部屋なので、すこし誇りっぽい感じある。
僕は、荷物を置いて、まず食事に行こうとしていた。
しかし、ニンは、バス・ルームに雑巾があるのを見つけると、ソファ・テーブルの上や、クローゼットのドアのさんなどを、拭き始めた。
僕は、びっくりしてしまった。
ニンは、美容師で、最近は小さな書き物もしている、と言っていた。
とにかく、そうじは後にして、食事に行こう、と外にでた。
シンガポール航空での貧弱な機内食だけしか、口にしてないので、僕は空腹だったのだ。
歩いて、3分ほどの、エスプラナードというショッピング・モール内の、日本食店、Fujiに入る。

ニンとの1日が、こうして、始まった。   (続く)



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ベトナムの高級レストランの綺麗なボーイだった彼を口説き、
妻子ある彼の愛人となり、
金持ちの日本人として、彼に小遣いをやるようになる。

その小遣いは、彼がベトナム人としては割のいい高級レストランをやめてしまってもいいと思うほどのもので、彼女は毎月の5日間は、ホーチミンで過ごし、彼はその間、ガイドであり、運転手であり、5日間に20回のセックス・パートナーのお手当てだった。

しかも、彼女は、その愛人の妻も、妻の母も、気持ちよく付き合い、妻の家にいくたびに、その母のもてなし手料理をご馳走になっていた。

しかし、そんな日も長くは続かない。
愛人の妻の弟に結婚式の費用を出して欲しい、と言われて、彼女は、がぜん、態度が冷える。

初めてのまとまった、大金のおねだりだった。
大金といっても、1000ドルから2000ドル、日本円で10万から20万で、彼女の短編小説、1本分だという。無理すれば、一日でかせげる額だ、そうだ。

しかし、彼女は、いやになる。
小出しに、自分になんらかのメリットのある出費なら(食事代や時計などのプレゼント、そして小遣いー上記のサービス料・・・)なら、しょうがない、金持ちなんだから、と支払い続けていたのだが、愛人の義理の弟の結婚式の費用、となると、直接のメリットが全く感じられないのだろうか、こころが冷えてしまう。

ベトナム人からみれば、金持ちだから愛人なのであって、金持ちの愛人であれば、家族みんなを助けて当然、という感覚であろう。
しかし、彼女の結論は、こうだ。

「そもそも。
あなたは私と出会った頃は真面目な働き者だったのに。
私に出会って小遣いがもらえるようになると、家族ぐるみで私にくれくれと言うようになった。
これまで私はあなたが可愛いから、あなたの家族も好きだから、言いなりになっていた。
でも、もうやめよう。
別れという言葉は口にはしない。けれど、しばらく会わない方がいいかもしれない。
私がケチなんじゃない。あなた達のための思いやり」

彼女は、愛人と会えなくなって、困らないのか?
困らないのです。
この頃すでに、韓国に新たな愛人を作っていたのだ。
韓国の愛人の方に気持ちが、性欲が傾いていた。
だが、ベトナムの彼も可愛くて、惜しくて、困っていた。
可愛くなくなる、理由を探していたところに、この大金?のおねだり、となった。
おあつらえむきのタイミング、だった、というわけです。

僕が、なんで、こんな話を書いているかというと、
岩井志麻子がしていることは、日本の男たちが、タイやフィリピンなどのアジアでしていること、として非難される、お金で当地の女性を買っている、ということと、同じ類の話だと思うから。

そういう意味で、彼女のユニークさは、日本の女性の励みになるかもしれない、と思うから。

そのまま、同じように、愛人を金でつくれ、ということではなく、
ある程度の経済的な基礎があれば、日本人女性は、アジアの男性の魅力を勝ち得ることができる、という自信をもてる、という意味で。
それを、もっと、実質的に活用すれば、良い。

しかし、岩井志麻子は、やっぱりケチだと思う。
別れのきっかけが、たった20万円のおねだりだった、というのだから。
愛人を持つ男性の場合、家を作って欲しい、なんていわれて、何百万も出してしまうケースが多いのに・・・ね。


一言で言うと、モテルからである。

彼女は妖艶な人気作家さんである(そうだから)、日本でも、男に不自由したことはない、だろう。

たとえば、この私小説で書かれている、ホーチミンに通っているころは、日本に男が居た。

彼女担当の編集者であり、男でもあった。

そんな彼女がなぜ、わざわざアジアにでかけるのか。

それは、一目ぼれしてしまうくらい、美男で優しい男に、愛されるからである。

日本のホスト・クラブにいるような、病人じみたやさ男ではなく、映画スターかとみまがうような、美男でしなやかな身体をもった、若者なのである。

南国アジアの国の男たちは、日本の女性が好きです。
まず、日本人は、白い、と言われる。

南国アイジアの美人の要件は、1に白いこと、2に白いこと、
なのです。

それで、日本の女性はもてる。

そして、日本の女性は年齢よりはるかに若くみられる。

そして、お金持ち、である。

この3つの美点を活かしして、彼女は、当然のように、
10歳以上若い、美男の、おとこを恋人に出来る。

考えてみると、これは、岩井志麻子だからできること、
だけではないです。

ほとんど、だれでも、日本の女性なら、アジアにいけば、できる。

もう、いわなくっても、そういう女性で、あふれかえっている、ともいえるのかな。

いまのところは、「若い」日本女性はモテルという、理解ではないか。

実は、もっと、年齢が行っても、
岩井志麻子さんのように、絶世の美男を射止めることが、できる。
という気がする。

そんな気持ちになれる、40代以降の日本女性、もっと増えないかな?




岩井志麻子さんの小説を読んだこともないし、

特別な関心もなかった(あやうく、岩下志麻、と読み違えるくらいの、関心のなさ)のだけれど、

タイへ旅行中にたまっていた新聞をみていると、5月24日の夕刊に、

2年越しの恋仲だった18歳年下の韓国人と4月に、ソウルで婚姻届を出した、という記事をよんだ。

やるな〜、と思って、インターネットを見てみると、

『ベトナムと韓国に愛人が居る生活ぶりを「夜のОDA」と言っている』、

そういうひとだ。

ふ〜んと思っているうちに、昨日、本屋に寄ると、「私小説」という文庫本がある。

ホーチミンのレストランで口説いたボーイと、ソウルでのホテルマンとの、自伝的恋愛小説、だという。

もちろん、買って、今読んでいるところです。

この人の面白いのは、ベトナムの男も、ソウルの男も、一目ぼれしちゃって、好きになって、かけもちで、続けていくところ。

一方で、女を買うためにだけに海を越えてくる男たちのように、男と恋なき性欲を分かち合うために、アジアに行く、とも言う。

相手の男は妻子持ちだったりで、自分の方が、愛人、なのである。

それでも、「夜のODA]、のつもりでいる。

そんなところが、海を越えて女を買いに行く、男たちと、共通だ。

そんな彼女が、結婚した相手は、このベトナムのボーイさんでも、ソウルのホテルマンでもなく、ソウルのカラオケ店のボーイさんだ。

日本人が、アジア人と国際結婚する場合、もっとも多いのは、

男性は、バーやカラオケやマッサージ店で知り合った女性と結婚する、

女性は、旅行中の、レストランやホテルやリゾートで働く従業員と結婚する、

というのが、一番、多いであろう。

岩井志麻子さんの場合も、出会いのきっかけは、同じだ。

なんで、こんなことを、書いているかというと、

日本の女性も、どんどんアジアに、遊びに出かけて行って、いいのではないか、と思うから。

日本で、うじうじした男にしか出会えず、

不満をかこっているのなら、

言葉も文化も違う、南国での出会いそれだけで、エキゾチックな魅力がある。

ひょうたんから、コマ、もあります。

日本にいるより、そのコマは、多いかもしれません。

とにかく、岩井志麻子さん、お見事!