きょうもまた、あなたとおいしい朝食を食べる、それが幸せ。 風は、すずやかに、木の葉をゆらし、小鳥のさえずりが、庭に降る。 バンコク バンカピから。今日も元気だ、幸せだ!
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武田百合子の「富士日記」を読んでいて、こういう文章に出会い、立ち止まってしまいました。

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昭和41年七月二十五日(月)晴れ

あまり忙しそうなので、いつぞやいた女事務員は辞めたのかと訊くと、
<今年の一月二日に三ッ峠入り口の街道で小学五年の子供を車でひいたので、そんなこんなで辞めた>
という。
おじさんがそのてんまつを話す。
「保険金が百万下りて、スタンドで(お店で・・・管理人記)三十万、娘の家で三十万出して、百六十万払った。
死んだ子供はてんかん持ちで、その子がいるために、その家はひどく貧乏していたが、百六十万入ったので、入った次の日から茶碗も新しくして、襖なんども張り替えた。
親も村の衆も『大きな声じゃいえねえだが、あの子は親孝行もんだ。
いいときに死んでくれて、金まで入れてくれた』と言っている。
はじめ、百六十万持って行くと、二百万だといっていたが、現金を目に前に見たら、やっぱり百六十万で手を打っただ」

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てんかんだった、というその子の人生とは、どんな意味があったのだろう・・・。

その子は、親に迷惑をかけることを止めることができ、親にお金を残すことも出来て、死の瞬間は幸せだったのか・・・。

てんかんの子を持ち、世間からつまはじきのようにされ、貧しさに追い込まれる家族になる、というのは、どういう社会なのか・・・。

「All men are created equal」という言葉が無力に響きます・・・。
.

もちろん、この文章を読んで思い出したのは、柳田國男の「山の人生」です。

柳田民俗学の出発点ともいえる「山の人生」には、

「山に埋もれたる人生あること」、という一節ががあります。

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 今では記憶している者が、私のほかには一人もあるまい。

 三十年あまり前、世間のひどく不景気であった年に、西美濃の山の中で炭を焼く五十ばかりの男が、子供を二人までまさかりできり殺したことがあった。

 女房はとくに死んで、あとには十三になる男の子が一人あった。そこへどうした事情であったか、同じ歳くらいの小娘を貰って来て、山の炭焼小屋で一緒に育てていた。その子たちの名前はもう忘れてしまった。

 なんとしても炭は売れず、なんど里に降りても、いつも一合の米も手に入らなかった。最後の日にも空手で戻って来て、飢えきっている小さい者の顔をみるのがつらさに、すっと小屋の奥に入って昼寝をしてしまった。

 眼がさめてみると、小屋の口いっぱいに夕日がさしていた。秋の末のことであったという。二人の子供がその日当たりの処にしゃがんで、しきりに何かをしているので、傍へ行ってみたら一生懸命に仕事に使う斧を磨いていた。

 おとう、これでわしたちを殺してくれといったそうである。そうして入り口の木材を枕にして、二人ながら仰向けに寝たそうである。それを見るとくらくらして、前後の考えもなく二人の首を打ち落としてしまった。それで自分は死ぬことができなくて、やがて捕らえられて牢に入れられた。

 この親爺がもう六十近くなってから、特赦を受けて世の中へ出てきたのである。そうしてそれからどうなったか、すぐにまたわからなくなってしまった。

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さまざまな人生を思うとき、

さまざまな事件に出会うとき、

時にこの一節が頭を過ぎります。

関係ないように感じられるかもしれないですが、

その時に思うのは、

だから、この人生を、無駄に過ごしてはいけない、

そのことなのです。



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コメント
この記事へのコメント
小説は現実よりも奇なり
現実は小説よりも奇なり...
と例えられるように、
小説の中には奇な部分が元来
多くありますね。
私も黒岩重吾の小説が大好きですが、
昔の心の闇のような表現をなげかけられ、
意味なく自分まで沈んだ気持ちになった事が
多々ありました。
でも歴史や記録には残らないことだったでしょうが、
そういう事も現実にあったでしょうね。
今のこの時を幸せに生きられる今の人生に
感謝です(*^0^*)
2009/06/18(木) 02:51 | URL | ウチャラポーン #RuBj8cxQ[ 編集]
はじめから読ました
このウエブの最初から読ませていただきました。今年の一部分だけを読んで勝手な書き込みをしてしまい申しわけなく思いました。
謝罪させていただきます
2009/06/18(木) 15:54 | URL | ura #-[ 編集]
黒岩重吾さん
ウチャラポーンさん、
黒岩重吾さんは関西の作家ですね。
だからウチャラさんが好きなんでしょうね。
人間故に、小説にも書けない表現の限界というものがあると思います。
そういう意味では、現実に方がはるかにおぞましく、残酷な面もあるのではないでしょうか。
人間の闇の部分を思うとき、ぞっとします・・・。
だからこそ、皆、幸せになろうとするのでしょう。
幸せに。
2009/06/18(木) 22:20 | URL | im8p #-[ 編集]
気にしないで。
uraさん、
沢山読んでいただいたんですね。
目を、また、しょぼしょぼにさせてしまったでしょうか(^O^)。

気にしないでください。
uraさんの率直なコメントに、嫌な感じは受けませんでした。
同じ、タイに夢をいだいてやって来た者同士です。
応援しあいましょう。
2009/06/18(木) 22:37 | URL | im8p #-[ 編集]
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